Japanese
English
解説
Parasympathetic activityの評価法
Assessment of Parasympathetic-nerve Activity in Humans
石坂 真二
1
,
井上 博
1
Shinji Ishizaka
1
,
Hiroshi Inoue
1
1富山医科薬科大学医学部第二内科
1Department of Internal Medicine Ⅱ, Toyama Medical and Pharmaceutical University Faculty of Medicine
pp.537-544
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900876
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はじめに
自律神経系は循環の全身的調節機構の中心的役割を果たしている.交感神経系は動脈系において安静時より抵抗血管を支配し,細動脈を介し組織血流と動脈血圧を調節する.静脈系では,静脈における容量の変化から,静脈環流を介し心拍出量を調節している.心臓交感神経は,安静時における持続性活動は認められるものの,主に強い運動負荷時や循環の恒常性が破綻したときに活動性を増し,心拍数と心収縮性を増加させる.一方,副交感神経は心臓に対し安静時より著しい持続的活動性を示し,心拍数増加に対し抑制的に作用する.このように自律神経系は,交感神経と副交感神経とがバランスよく調和し,血行動態の変化に対し循環の恒常性を維持するように働く.
ストレスや環境変化に際して瞬時に起こる循環の調節は,自律神経反射(圧受容体反射)を介して行われる.血圧が低下すると,動脈圧受容体からのインパルスは低下し,交感神経は活動性を増し,副交感神経は抑制され血圧を維持する.心房圧の低下は心肺圧受容体反射を介し交感神経活動を増加させるばかりでなく,腎臓でのナトリウム排泄を抑制し,バゾプレッシンを分泌させるなど体液の調節を通じて血圧を維持している.
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