巻頭言
論文を書くことと査読についての省察
河村 慧四郎
1
1大阪医科大学第3内科
pp.969
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204087
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医学の多くの分野において今ほど多数の論文が出版され,またその情報が入手し易い時代はこれまでになかったと思われる。最近はまた,情報処理技術の進歩に伴ない,研究者のcurriculum vitaeをみるまでもなく個人の論文リストや,さらにほかの文献への引用頻度を知ることもできるようであり,まさに未曽有の情報化時代といえよう。
医学論文には原著,論説(editorials),総説(reriew),症例報告,治験,短報(brief communication)などの多くのジャンルがある。いずれを書くにせよ,多くの著者に共通することは優れた良い論文に仕上げたいという気持であろう。しかし論文作成の動機が各著者でさまざまに異なるように,論文の仕上りの基準も個別的にかなり異なる場合が少なくないと思われる。この問題は学術雑誌への投稿論文の編集とも密接な関連がある。近年,木邦でも学術雑誌や学会雑誌に投稿される論文の撰択は専門領域の査読者(通常複数)による審査が前提とされる。
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