巻頭言
Your heart, your lung
小野寺 壮吉
1
1旭川医科大学内科
pp.467
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202634
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肺循環について思いをめぐらしていると,肺側からの理解だけでは当然のことながらやがて行きづまってしまうし,循環生理の側から眺めても体循環の知識をそのまま適用できない面も多い。ハイポキシアと肺血管抵抗の上昇ということにしても,この際の心機能の評価まで関連づけての説得力のある説明は十分でないようである。本誌1巻1号の巻頭言に大森憲太先生が,呼吸と循環は唇歯輔車の関係と述べられているが,肺循環はまさに呼吸と循環の狭間であって,具体的な媒体として血液ガスがこれにかかわってくる。肺性心といい,心性肺といい,心肺性危機と一括するにしても,その治療には呼吸と循環にまたがる知識と洞察が必要である。
本誌は呼吸器と循環器を対象として,その臨床生理学的なアプローチを主に,解説の時代を経て,呼吸と循環の統合的な理解と研究にも大いに意欲を示してきた。しかし,医学の細分化は,このような統合的な把握をむしろ困難にしつつあるようであって,単に呼吸と循環の並列あるいは交互の登場となりかねない。呼吸器専門誌と循環器専門誌の間隙を埋めることはたしかに難しいことであって,実地面では,ICU施設の運営などを通じて,むしろ麻酔科関係者が,呼吸と循環と代謝面をも含めて,目前の緊急事態の対策に追われているところも多いようである。
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