特集 血流
巻頭言
Intravascular Coagulation
安部 英
1
1帝京大学医学部内科
pp.3-5
発行日 1972年1月15日
Published Date 1972/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202339
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血管内凝血intravascular coagulation,すなわち血栓の形成あるいはそれよりさらに塞栓への発展は,出血とともに血液循環を妨げる大きな因子であるが,その血流に対する効果が端的でかつ強力であることが特徴である。もとよりこの血栓形成の準備状態ともいうべき凝血亢進状態でも,すでにある程度血流に影響を与えることが考えられるが,それが明らかな臨床症状として把握されることはむしろ稀であるばかりでなく,ある程度血栓の形成が進み,その大きさに応じて血流状態に変動を与えても,その変化が一過性に終る時はまたその病的状態を診断することが容易でなく,血(塞)栓による血管の閉塞が完成するに及んで始めて急激に,しかも激烈な症状を呈するようになることが多い。したがって血管内凝血を考える場合は,これら凝血亢進状態による種々の血栓形成過程をも考慮に入れて検討する必要がある。
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