巻頭言
呼吸と循環
木村 登
1,2
1久留米大学医学部第三内科
2久留米大学循環器病研究所
pp.727
発行日 1968年9月15日
Published Date 1968/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201932
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いろいろなことがまがり角にきていると言われている。このことは,私共が直接の目標としている呼吸や循環の研究についても言えるのではないかと思われる。
第2次世界大戦が終わって,大きな混乱の中に立ち上がった各方面の若い研究者達の努力で,少しずつ地についた研究がはじまって間もない頃,本誌が発刊されたのであるが,その名の示す呼吸と循環に関することを勝手に話しあう集まりとしての呼吸と循環の会が本誌の生みの親でもあった。終戦の前後の約10年間の空白を埋めるための大きな努力を行なっていた当時の新進の若い学徒の自由な談合の場としての呼吸と循環の会には,教授の方の御出席はおことわり,唯一の例外の斉藤十六教授はいい兄貴ぶりを発揮されたものであったが,私の印象に残っている最も大きいことは,静脈心臓カテーテル法の失敗例をもちよる会を名古屋でやったことである。これは取り入れたばかりのこの方法の開拓者がつきあたった壁を皆で力をあわせてうちやぶった意味で,わが国の呼吸と循環の研究を進展させる上に大きな役割をはたした出来事であった。
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