Japanese
English
綜説
体温と代謝
Body Temperature and Metabolism
田村 文彦
1
Fumihiko Tamura
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.192-202
発行日 1968年3月15日
Published Date 1968/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201875
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
数世紀来,体表面より体温を下げることを物理療法の一つとして行なうことが試みられてきた。
最近では,癌・白血病その他に対する治療効果に関する論文(Talbot, 1941)もみられ,また人工冬眠,冷凍療法(frozen sleep, experimental hibernation)として,低体温の臨床的応用が考えられ,すでに脳・心臓外科の領域では周知の事実として実用されている。
またごく最近,低体温が呼吸・ガス代謝におよぼす効果を,呼吸困難・呼吸不全の治療に応用する考えがもたれ,内科的にも臨床応用の面から新たに脚光をあびようとしている。
ここでは,このような臨床応用の面からはなれて,温度が生体におよぼす影響のうち,とくに体温の低下が,無麻酔下の人体の代謝・熱交換におよぼす影響についてとりあげた。しかし紙面の関係から,主に寒冷への急性の暴露を中心にし,慢性の暴露,寒さへの適応(adapta—tion),馴化(acclimation, acclimatizations)の問題については省略した。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.