Japanese
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特集 冠硬化
綜説
実験的アテローム性動脈硬化に関する研究
Study on experimental atherosclerosis.
木村 登
1
,
古川 一郎
1
,
繩田 義夫
1
,
西本 昭二
1
,
森 文信
1
,
入江 公
2
,
後藤 郁郎
2
,
板坂 耕爾
2
,
古賀 忠
2
,
村上 驍
2
,
岡村 裕
2
N. Kimura
1
1久留米大学第三内科
2九州大学第一内科
1Kimura Clinic, School of Medicine, Kurume Univeisity.
pp.19-33
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200712
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I.実験的アテローム性動脈硬化の発生過程
動脈硬化の成因に関する研究に就いては,その実験的分野では,1903年にJosué1)がアドレナリンの連続注射によつて,中膜の変化を主とする所謂アドレナリン型動脈硬化の発生の報告にその端を発している。次いで1909年にはIgnatowski2)が卵黄と牛乳及び牛肉で内膜の変化,即ちアテローム性動脈硬化を発生させ,別にビタミンD過剰によるもの等実験的動脈硬化の発生方法3)は種々議論され,おが国に於いても今4),鈴江5)両教授の創始によるラノリン飼育による動脈硬化に関する詳細な報告がある。
一方臨床面でも最近内膜の変化を主体とするアテローム性動脈硬化,特に冠動脈硬化が注目されつつある。それと同時に血清脂質及び血清蛋白との問題が活溌に討議され,更にアテローム性動脈硬化の治療の面では摂取総カロリー,脂肪摂取カロリーの問題及び血清脂質の処理剤が登場し,今後この方面の発展が大いに期待される現状である。然しかかる研究の基礎実験に際し,最も基本的な問題であるところの実験方法に関する討議が必ずしも十分でなく,従つてアテローム性動脈硬化の発生方法,動物飼育期間,硬化の判定基準等に就いては各研究者により各々独自の方法が採用されている現況である。
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