Japanese
English
Current Opinion
冠微小循環の視覚化
Visualization of Coronary Micro-vascular Circulation
知久 正明
1
,
盛 英三
2
Masaaki Chiku
1
,
Hidezo Mori
2
1日本大学医学部内科学講座循環器内科
2国立循環器病センター心臓生理部
1Department of Cardiology, Nihon University School of Medicine
2Department of Cardiophysiology, National Cardiovascular Center
pp.873-877
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100088
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冠微小循環障害をめぐる最近1年間の話題
近年,高齢化社会ならびに食生活の欧米化に伴い,生活習慣病による全身疾患である動脈硬化性心疾患が増加し,循環器疾患領域においては,糖尿病やメタボリックシンドロームによる冠微小循環障害1~4)が注目されている.一般に約100~150μm未満の血管系を微小循環と称している.動物実験モデルでは血管径が約10μm未満の血流動態も生体蛍光顕微鏡を用いることにより評価できるようになったが,実際の臨床で冠微小循環を視覚化できるdeviceはなかった.間接的に微小循環障害を評価できる心筋コントラストエコー法5,6)やMRI7)による評価,冠動脈造影による心筋の濃染像による評価8),さらには心筋シンチグラフィによる評価9)やドプラフローワイヤーを用いた冠血流パターンによる評価10)などが代替検査法として挙げられるが,微小血管の生理や病理的な評価には不十分である.
その他の冠微小循環障害が原因と考えられている疾患として,冠動脈に器質的な狭窄がないにもかかわらず胸痛を来すsyndrome X症候群11),たこつぼ心筋症に関して微小冠動脈の攣縮が関与している可能性や12),さらには経皮的冠動脈形成術(PCI)後のno reflow現象などが挙げられる13).これらの疾患についても微小血管を可視化できないため,その機序や成因は不明なところが多い.また,血管再生治療など微小血管をターゲットにした新しい治療法が施行されるようになったが,その治療効果を十分に評価できるような検査は確立されておらず,微小血管の可視化が期待されている.
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