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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
病理
低異型度癌と超高分化腺癌(胃)
low-grade adenocarcinoma of the stomach, extremely/very well differentiated adenocarcinoma of the stomach
海崎 泰治
1
1福井県立病院病理診断科
pp.739
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202896
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病理総論的に腫瘍は,正常組織との組織学的類似性の度合いから分化度(高分化・中分化・低分化)が分類される.一方,正常組織からの組織学的乖離の度合いとして異型度があり,乖離の程度の高低で低異型度,高異型度に分類される.これらの用語は細胞・核の形態(細胞分化・細胞異型)と組織構造(腺癌では腺管形成,構造分化・構造異型)のどちらにも適用される.胃癌取扱い規約(以下,規約)の組織型分類は,腺管形成の状態(構造)のみで判定され,細胞形質の分化傾向や核異型については考慮されていない.それに対して,細胞の分化度・異型度の観点から胃癌を分類したのが低異型度癌,超高分化腺癌である.
低異型度癌は,悪性度の観点から細胞異型度を低異型度と高異型度に分類した試み1)から提唱された.病理組織学的な基準は,核/細胞質比(細胞の高さに対する核の高さ)が50%以下,核は紡錐形が基本で,基底側に配列し極性が保たれるなどの所見が挙げられている(Fig.1).この用語は高異型度で予後が悪いことを示すが,細胞異型が乏しく生検診断困難という意味合いは含まない.
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