Japanese
English
今月の主題 一度見たら忘れられない症例
主題
腐食性食道炎に発生した胸部食道癌
A Case of Esophageal Cancer Caused by Corrosive Esophagitis
三浦 昭順
1
,
門馬 久美子
2,3
,
春木 茂男
1
,
鈴木 邦士
1
,
山口 和哉
1
,
塩原 寛之
1
,
前田 有紀
3
,
飯塚 敏郎
3
,
堀口 慎一郎
4
,
比島 恒和
4
Akinori Miura
1
1がん・感染症センター都立駒込病院食道外科
2早期胃癌検診協会
3がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科
4がん・感染症センター都立駒込病院病理科
キーワード:
腐食性食道炎
,
食道狭窄
,
食道癌
,
内視鏡診断
Keyword:
腐食性食道炎
,
食道狭窄
,
食道癌
,
内視鏡診断
pp.1126-1130
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202108
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臨床経過
40歳代,男性.2歳時に苛性ソーダの誤飲により腐食性食道狭窄を発症.胃瘻造設術が施行された.その後,食事摂取は可能であったが,40歳代になり,胸部のつかえ感が増強したため近医を受診した.上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて食道狭窄を指摘され,食道拡張術目的に当科に紹介され受診となった.
当院のEGDでは,切歯列より20〜26cmの食道粘膜は白濁し,血管が透見できず,多数の瘢痕を認めた(Fig.1a〜c).切歯列より26cmから食道狭窄が始まり,狭窄部の左壁〜後壁に1/2周程度の病変を認めた.左壁側は表面に付着物があり,一見盛り上がって見えたが,後壁側は境界が明瞭な陥凹性病変として観察され,病変は峡谷のような切り立った崖状を呈していた(Fig.1d〜f).細径scopeでの肛門側の観察では,左壁および後壁側の病変は,発赤した厚みのある病変として捉えられ,中央には深い溝状の陥凹がみられた(Fig.1g,i).しかし,NBI(narrow band imaging)近接観察では,病巣表面にB2血管らしき所見がみられ,前壁側には血管が増生するBA(brownish area)もみられた(Fig.1h).狭窄部にできた病変のため,病変が誇張されて見えている可能性も考慮し,MM-SMの表在癌と診断した.内視鏡が狭窄部を通過できないため,病変の全貌は確認できなかったが,ヨード染色にて不染を示す病変部の生検にて,扁平上皮癌と診断された(Fig.1f).
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