--------------------
海外文献紹介「腫瘍類似の縫合肉芽腫:予防可能な胃切除後合併症」
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.1666
発行日 1977年12月25日
Published Date 1977/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113456
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
Suture Granulomas Simulating Tumors; A Preventable Postgastrectomy Complication: R. Gueller, H.A. Shapiro, J.A. Nelson, R. Bush(Am. J. Digest. Dis. 21: 223~228, 1976)
非吸収性の縫合糸を用いて吻合部に起こる合併症として,膿瘍,癒着,縫合線潰瘍,縫合肉芽腫等がある.縫合線潰瘍は,症状があるので注目されるが,縫合肉芽腫は症状のあるのは稀で,ほとんど注目されない.この論文は,X線診断上,腫瘍に似ている縫合肉芽腫の重要性を指摘し,内視鏡的検索により不要な手術のさけられることを強調している.4例の症例が呈示されているが,いずれもX線写真だけでは腫瘍との鑑別が難かしい.胃手術後の吻合部に起こるX線上の陰影欠損は稀ではない.鑑別すべきものとして,皺襞変形,術後再発,腫瘍そのもの,膿瘍,吻合部潰瘍,大きな皺襞,癒着等が挙げられる.非吸収性の材料での術後の異物反応の頻度に関する研究は少ない.Perouが12,000の外科標本中で25例の縫合肉芽腫を報告したように比較的稀である.
縫合肉芽腫そのものは無症状であり,従ってその存在は,腫瘍との鑑別においてのみ重要である.Eklöfらは,X線上の陰影欠損のため,腫瘍の診断で開腹した2例を報告.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.