特集 図説 胃と腸用語集2012
分類・定義
ABC(D)分類〔ABC(D)classification〕
井上 和彦
1
,
春間 賢
1
1川崎医科大学消化管内科
キーワード:
ABC(D)検診
,
胃癌リスク診断
Keyword:
ABC(D)検診
,
胃癌リスク診断
pp.847
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113416
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胃癌の多くはH. pylori(Helicobacter pylori)既感染者から発生し,また,H. pylori感染に伴い生じる胃粘膜萎縮は胃癌,特に分化型胃癌の発生母地と考えられている.胃粘膜萎縮を簡便な血液検査で拾い上げるペプシノゲン(pepsinogen;PG)法と,血清H. pylori抗体価の組み合わせにより胃癌リスク診断,言い換えれば,胃の“健康度”評価を行うのがABC(D)分類である.
H. pylori抗体(-)PG法(-)をA群,H. pylori抗体(+)PG法(-)をB群,PG法(+)をC群とするが,概ねA群はH. pylori未感染の人,B群はH. pylori感染に伴う胃粘膜炎症はあるが萎縮は軽い人,C群はH. pylori感染に伴う萎縮の進行した人と判断できる1).なお,PG法(+)のうちH. pylori抗体(+)をC群,H. pylori抗体(-)をD群と分類することもある.この場合,D群は萎縮の高度進展に伴いH. pyloriが棲めなくなった状態と推察される.
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