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Crohn病は1932年Crohnら1)によって原因不明の回腸末端炎として報告された.本邦において近年この疾患は増加の一途を辿り,厚生労働省の難治性特定疾患に指定されている.その報告書2)の中で疾患概念として「本疾患は原因不明であるが,免疫異常などの関与が考えられる肉芽腫性炎症性疾患である.主として若年者に発症し,小腸・大腸を中心に浮腫や潰瘍を認め,腸管狭窄や瘻孔など特徴的な病態が生じる.原著1)では回腸末端炎と記載されているが,現在では口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位におこりうることが判明している.消化管以外にも種々の合併症を伴うため,全身性疾患としての対応が必要である.臨床像は病変の部位や範囲によるが,下痢や腹痛などの消化管症状と発熱や体重減少・栄養障害などの全身症状を認め,貧血,関節炎,虹彩炎,皮膚病変などの合併症に由来する症状も呈する.病状・病変は再発・再燃を繰り返しながら進行し,治療に抵抗して社会生活が損なわれることも少なくない」と記されている.Crohn病の診断は診断基準〔クローン病診断基準(案 : 2010年2月9日改訂),Table 1〕2)に則り画像所見や病理組織所見によって判定される.
Crohn病の画像所見の特徴はその自然史の中で初期の病変であるアフタ様潰瘍・病変3)4)や不整形潰瘍が進展して縦列傾向を示し,それらが癒合して典型像である縦走潰瘍,敷石様外観へと進展すると考えられており5)6),再燃・寛解を繰り返してやがて狭窄,瘻孔,膿瘍などの合併症を惹起して外科的治療が必要となる症例も多い7)~11).Crohn病の治療は寛解導入治療に成功してもその後の継続した積極的維持治療の介入がなければほとんどの症例で再燃・寛解を繰り返して悪化する12)という点で,類似する炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎とは病態が大きく異なると考えられている.
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