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Papillary Adenomas of the Colon and Rectum: A Twelve-year Review: M. R. Jahadi and W. Bailey (Dis. Col. Rect. 18: 249, 1975)
1960年より12年間に絨毛状腺腫として切除された大腸直腸polypの中,組織学的に確診した185例について検討.年齢は28~87歳で平均63歳.85%は50歳以上で60歳台に最高頻度.良性の場合平均年齢57歳.悪性69歳男性84例,女性101例で10%女性が多い.94%はcaucasia人,残りは黒人.臨床的には直腸出血を訴える者が最多で40%,次いで下痢22%.11%は無症状で健診にて発見1例のみに電解質不均衝あり.病悩期間と良悪性の相関なし.32%は直腸指診で触知.直腸鏡にて70%を確認.145例に注腸X線検査を行い68%を描出.分布は下部腸管に密で,71%が直腸とrectosigmoidに存在し,13%がS状結腸に存在.62例が合併病変を有し,内57例は腸管病変であった.その内36%は悪性,64%は良性病変で,悪性病変中腺癌が最多.形状は83%が無茎.有茎の内25%が悪性変化を示し,茎の有無で良悪性を述べるべきでない.大きさは直径2cmと5cmとに区切って分類すると,2cm以下に悪性変化18%,2cm以上では69%.5cm以上の良性は27%と少い.104例の初回生検診断において43%誤診.最終組織診断にて良性48%.97例が悪性部分を含んでいた.このうち40例は上皮内癌であり,42例は浸潤癌.初回治療として良性88例の内,7例は他に腺癌を合併していたため根治手術を,48例は局所切除を,15例は前方切開または分節切除を,15例は腸切開後polyp摘除をそれぞれ施行.これらの内10例は経過観察中再発し,7例は良性,3例は悪性であった.97例の悪性では14例が再発し,このうち10例では初回に局所切除を施行していた.これら全例再手術施行,再度再発が3例に認められた,悪性の67例は1969年までに手術され,1例を除いて経過観察しえた.2例の手術死を含めて10例が死亡.悪性の場合5年生存率75%.6例のみ転移により死亡.うち5例は初回手術時浸潤癌.従って浸潤癌が存在,または疑われる場合以外は妓息的外科手術でよいことを示唆している.
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