今月の症例
結腸型虫垂癌の1例
縄野 繁
1
,
牛尾 恭輔
1
,
山田 達哉
1
,
吉田 茂昭
2
,
板橋 正幸
3
,
廣田 映五
3
1国立がんセンター放射線診断部
2国立がんセンター内視鏡部
3国立がんセンター研究所病理
pp.1338-1340
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112847
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〔患者〕76歳,男性.主訴:下腹部痛.
〔注腸X線所見〕仰臥位二重造影像(Fig. 1)では,盲腸盲端部の前壁に25mm大の隆起性病変が認められる.その腫瘤の先端には半球状の突出部がみられ,表面は結節状である.やや角度を変えた二重造影像(Fig. 2)では,突出部の中央に陥凹が認められ,結節も明瞭である.Fig. 3,4は先端突出部にバリウムを溜めた腹臥位二重造影像である.中央部の縦長の陥凹が明瞭であり,この突出部は上皮性の悪性腫瘍であると考えられる.一方,腫瘍基底部の粘膜には幾重にも重なる輪状影がみられ,その表面が平滑であることより粘膜下腫瘍の形態も伴っていると考えられる.以上より,盲腸粘膜下に虫垂原発の癌が存在し,腫瘍の一部が盲腸内腔に露出していると診断した.
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