Japanese
English
症例
胃癌を合併したGardner症候群の1剖検例
An Autopsy Case of Gardner's Syndrome Associated with Gastric Cancer
西田 一己
1
,
富田 濤児
2
,
堀江 久夫
2
,
沢野 芳郎
2
,
守谷 孝夫
3
,
船曳 孝彦
3
K. Nishida
1
1国立栃木病院研究検査科病理
2国立栃木病院研究検査科外科
3名古屋保健衛生大学外科
pp.1157-1160
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111860
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1951年Gardnerが家族性大腸ポリポージスに骨腫と軟部腫瘍の合併する症例をGardner症候群と名付けた.しかしながらGardner症候群のポリポージスに関して上部消化管に合併するポリープあるいは癌について注目されていなかった.我々は文献上報告されていない胃癌を合併したGardner症候群の剖検例を得たので報告する.
症例:66歳男子で主訴は肛門部痛と激しい下痢,便尿失禁で,入院5カ月前から増強して来た.家族歴では長兄が直腸癌で死亡しているが,家族性ポリポージスの明らかな遺伝的なものは認めない.臨床所見では前頭骨の骨腫と注腸レ線で直腸に明らかな癌と全結腸ポリポージスが認められ(図1,2,3),Gardner症候群と診断した.胃レ線写真(図4)および内視鏡検査(図5)で胃前庭部にポリープ様の隆起が多数認められ,生検組織診で異型上皮GroupIVとされた.手術所見では直腸癌はすでに腹膜翻転部にまで浸潤しており,切除できず,人工肛門とS字結腸の切除が行われた,切除標本の肉眼像は粘膜面に密生せるカーペット状のポリポージスが認められた(図6).術後3カ月全身衰弱と黄疽が出現し,死亡した.
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