今月の主題 胃液分泌の基礎と臨床
綜説
胃液の生化学
和田 武雄
1
,
西原 武晴
1
,
木下 博
1
,
山田 悟朗
1
,
藤田 伊久雄
1
1札幌医科大学内科学第一講座
pp.341-348
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110478
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胃の内腔には,胃腺の分泌成分ばかりでなく,食道・噴門を介する嚥下や十二指腸・幽門からの逆流,さらには胃壁における漏出や滲出現象によって生ずる体液成分が認められ,これらを一括したものを一般に胃液と称する.むろん主体は分泌成分であるから,分泌機序の各相に応じてその内容を考えなければならないし,個々の生理条件や病的状態でもその性状を異にする.したがって,胃液の生化学とは,さしあたり胃壁由来の分泌性・非分泌性体液成分についての,生化学的な説明と理解されたい.
1.分泌成分および主な非分泌成分について
第1図は,胃底腺に相当する胃粘膜構成組織と,それらの分泌成分およびそれぞれへの神経化学的支配の関係を示した略図である.噴門腺・幽門腺領域になるとmucus分泌が主な役目となり,特に後者は大体末梢迷走神経支配下にmucusの多いアルカリ溶液を分泌して塩酸中和の役目に任ずるが,前者の神経支配関係は明瞭でない.
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