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編集後記
望月 福治
pp.378
発行日 1990年3月25日
Published Date 1990/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110430
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今回取り上げられた主題は“胃癌の切除範囲をどう決めるのか”である.X線,内視鏡,一部に超音波内視鏡をも加えた診断,実際の手術を担当する外科,それに病理サイドと,それぞれの立場から,幾つかの問題点が提示されている.切除線については,癌の口側端,とりわけ噴門部への浸潤範囲が論点の中心となった.一方,病変としてはⅡb,多発癌,Borrmann 4型またはスキルス胃癌が主役であることも指摘された.いずれも切除する立場からみると,断端浸潤の有無と共に,胃全摘とするか,あるいは縮小手術が可能かにかかわる問題点となっている.他方,座談会は豊かな経験をもとに,微に入り細に入り,しかも,幅広く議論されている.相手が“癌である”という立場から,小と言えどもあなどることなく,日々,真剣に取り組んでいる姿勢がにじみ出ているようである.
序説で述べられているように,本号の主題は,既に論じ尽くされたテーマであるかもしれない.日頃,通い慣れた道でも,ときに足を止めてみると,これまで気づかなかった思いがけない光景に出会い,改めて新鮮さを感じることがある.この企画から,いささかでもリフレッシュされるような出会いを感じとっていただければ幸いである.
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