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海外文献紹介「胆泥の性質と組成」
種広 健治
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1愛知県がんセンター第1内科
pp.898
発行日 1986年8月25日
Published Date 1986/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110271
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Nature and composition of biliary sludge: Lee SP, Nicholls JF (Gastroenterology 90: 677-686, 1986)
超音波検査の普及により,胆泥がしばしば発見されるようになった.胆泥は音響陰影を伴わない低エコー像として描出され,体位変換で移動する.Allenらは,胆泥がビリルビン顆粒とコレステロール結晶から成ること,Boonyapisitらは,胆泥を含む胆汁中に高濃度の非抱合型ビリルビンを見出した。胆泥は胆石の核になることが示唆されているが,その正確な組成と,胆石生成との関連から胆泥を有する胆囊の病態生理の解明が必要である.
正常,胆石,胆泥の3群について,肝および胆囊胆汁の脂質と粘液糖蛋白を分析した.肝,胆囊胆汁のコレステロール,リン脂質,胆汁酸塩濃度,飽和指数には3群間に有意差を認めなかったが,胆泥群の胆囊胆汁中の総ビリルビン濃度は低かった.これは胆囊内でビリルビンの析出または吸収が起こるためであろう.また粘液糖蛋白の分析では,胆囊胆汁中の粘液含量が正常群より胆石群,更に胆石群より胆泥群に多かった.この現象は,肝胆汁には認められなかったので胆囊内で粘液分泌が起こるものと思われる.
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