今月の症例
特殊な治癒経過をたどった胃潰瘍の1例
芦田 潔
1
,
折野 真哉
1
,
大柴 三郎
1
Kiyoshi Ashida
1
1大阪医科大学第2内科
pp.1050-1051
発行日 1986年10月25日
Published Date 1986/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110167
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ヒスタミンH2受容体拮抗剤による消化性潰瘍,特に胃潰瘍の治療中に潰瘍底に白色隆起が観察されることがある.今回,治癒過程期に白色隆起が出現した胃潰瘍の1例を呈示する.
通常,慢性潰瘍は病理組織学的に4層構造(表層から浸出層,壊死層,肉芽層,線維層)がみられる.しかし,本例の白色隆起には壊死部がほとんどみられなかった.したがって,白色隆起の成因はH2受容体拮抗剤の強力な酸分泌抑制作用によって,肉芽組織が壊死に陥ることなく増生するためと考えられる.
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