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海外文献紹介「内視鏡的針吸引細胞診:上部消化管癌の新しい診断法」
小林 世美
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1愛知県がんセンター消化器内科
pp.66
発行日 1988年1月25日
Published Date 1988/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107801
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Endoscopic needle aspiration cytology: a new method for the diagnosis of upper gastrointestinal cancer: Ingoldby CJH, Mason MK, Hall RI(Gut 28: 1142-1144, 1987)
上部消化管の悪性病変のほとんどは,内視鏡観察のみで診断可能である.疑診例の大部分は,内視鏡生検とブラシ細胞診で容易に診断される.これら2つのテクニックの単独あるいは併用により悪性病変の約95%が正診可能である.しかしながら,これらの方法では,表層の細胞あるいは組織のみが採取されるゆえに,確診できない病変が若干残る.linitis plasticaや再発腫瘍のごとき浸潤性病変や,リンパ腫,肉腫のごとき比較的まれな組織型の腫瘍を生検やブラシ細胞診で確診するのは難しい.そこで細い針を用いた吸引細胞診は,いろいろな悪性腫瘍を診断する効果的な手法である.例えば,乳房のごとき臓器で触診可能な病変から経皮的に,あるいは膵臓のごとき深部臓器から超音波ガイドで施行される.食道静脈瘤硬化療法に用いる可撓性の針の登場で,吸引細胞診が内視鏡で見える消化管病変に応用可能になった.このテクニックは,通常法では診断困難な壊死組織や正常粘膜の下深く存在する病変からのサンプル採取を可能にする.
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