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編集後記
西澤 護
pp.354
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106422
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今から25年前ごろまでは,その道の大家が胃癌の大部分は胃潰瘍,胃ポリープから発生すると学会の特別講演などで述べ,新聞紙上をにぎわすこともしばしばあった.そのため,一時は医家だけでなく,一般の人々の口にまでのぼるほど信じられるようになった.ところが,その後,全く間違いであることがわかり,胃潰瘍や胃ポリープが手術の対象にならなくなってきた大きな要因になった.
胃癌についてだけでなく,学問にはそのようなことがしばしばあって当然なのだが,大家と言われる人たちの声は大きく,大きな仕事をする反面,大きな間違いも起こしやすい.数多くの小さな声は,大きな声に惑わされないよう,常に冷めた日で観察することが大切ではなかろうか.
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