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編集後記
下田 忠和
pp.1126
発行日 1993年9月25日
Published Date 1993/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106273
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12年ぶりに胃悪性リンパ腫の特集が組まれた.この間の節性悪性リンパ腫の概念の変遷は毛利論文で十分に述べられているが,胃においても驚くほどの変化である.かつては臨床的・病理学的に反応性リンパ腫(RLH)と悪性リンパ腫の鑑別に苦渋したものが多く,生検で良性と診断され,後で臨床像が大きく変化したり,あるいは手術例でさえ,良性と診断しながら再発を来した例を少なからず経験した.しかし,本号でも述べられているようにその後の消化管悪性リンパ腫は,MALTリンパ腫の概念導入により,かつてRLHとされていた多くは低悪性度リンパ腫と考えられるようになってきた.本号では,このような概念の変遷に基づいて,胃悪性リンパ腫の臨床ならびに病理学的問題が明らかにされている.MALTリンパ腫は病理学的にはまだ議論の多い概念であるが,本号ではその問題点はまだ十分に明らかにされてはいない.今後,症例の蓄積を経て,更に10年後にはまた胃悪性リンパ腫の概念が変わっているかもしれない.
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