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編集後記
下田 忠和
pp.1216
発行日 1995年8月25日
Published Date 1995/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105520
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胃の平滑筋肉腫はその良・悪性をめぐって随分と議論されてきた.その初期には,腫瘍の大きさが5cm以上であることや,表面に潰瘍を伴うことが,良・悪性の目安となっていた.また,組織学的には核分裂や細胞成分の多寡などが良・悪性の鑑別点とされてきた.しかし最近では,平滑筋肉腫であってもその悪性度が問題とされるようになってきている.悪性度の判定には従来,細胞分裂数が指標とされてきたが,これは観察する病理医によりその判定が異なったり,あるいは固定条件の違いにより分裂数に変化があるなどの問題が指摘されてきた.その点,本特集では病理学的に新しい悪性度の判定として細胞増殖活性の検索などが役立つことが示されている.これは今までの判定からみれば更に客観的指標となるものである.
また,臨床的には腫瘍のdoubling timeがおおよそ2年を境として良・悪性の鑑別ができることがほぼ一致した意見として示された.それを裏付ける主題症例の呈示もあり,読者にとって今後の日常診療に役立つと思われる.
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