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編集後記
下田 忠和
pp.734
発行日 2004年4月24日
Published Date 2004/4/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104253
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消化管の非上皮性腫瘍は悪性リンパ腫とGISTであるが,粘膜下腫瘍形態を示すものはGISTの頻度が極めて高い.GISTの概念はKIT陽性腫瘍として理解されるようになった.しかし頻度は低いがKIT陰性腫瘍の存在も明らかになり,その問題点,さらには最も臨床的に重要な悪性度についても本号では簡潔に記載されている.さらにimatinib mesylate(Glivec)による治療も注目されているが,その適応も記載され,GISTに関する最近の進歩が総説とトピックスで十分に述べられ,本号の目的の1つは果たされた.一方,臨床診断面では粘膜下腫瘍の良悪性の鑑別のために種々の新しい画像診断,EUSガイド下穿刺生検あるいは吸引細胞診などの診断の試みが紹介されている.いまだ十分でない面もあるが,今後,診断精度が高くなり,良悪性診断ができる可能性が紹介されている.治療面では外科手術が一般的であるが,GISTも含めて今や局所切除が一般的になってきた.その他,個々の施設では滅多に経験しない多数の消化管粘膜下腫瘍あるいは腫瘍様病変が網羅され,上皮性腫瘍との鑑別も含めて詳細に記載されている.これほどのまとまった消化管粘膜下腫瘍の企画は初めてで,日常臨床で大いに役立つことと確信している.執筆にかかわった先生方の労力に感謝する次第である.
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