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はじめに
1.“表面型”の定義とその理由
筆者らは,画像診断,特に存在診断の立場から“表面”型と呼ぶにふさわしい丈の低い病変をもって表面型と考えてきた.現在,筆者らが表面型としている病変は,肉眼形態の基本型が扁平で,腫瘍頂部の大部分が平坦,もしくは陥凹した病変(Ⅱ型病変とする)のうち,丈の高さが,正常粘膜の厚さとほぼ同等以下の病変である1).
ここに定義した丈の高さについては,内視鏡的に表面型とされた病変の計測結果から得られたものである1).形態分類は主として内視鏡所見によって行い,基本的には腸管を伸展した状態で判定している.すなわち,①診断・治療は内視鏡によることが多い,②治療適応外とされ標本の得られない病変が増加しつつある,③切除法や固定法により形態が変わりうる,以上の3点より,肉眼形態判定の基本は内視鏡所見をもって行うのが臨床には即していると考えている.
2.肉眼分類における問題点
最大径が6~9mmの病変には,肉眼形態が5mm以下の微小腫瘍に近似したものが多く含まれる.また,新鮮標本と固定標本のいずれで計測したか,更に陥凹型においては,周辺隆起部を計測に入れるか否かなどによって,6~9mmの病変は扱いが異なってくる.本稿では,ある程度の大きさを持った表面型腫瘍の特徴をみるため,対象を10mm以上の病変に絞って検討した.
10mm以上の病変の肉眼分類における問題点として,①筆者らが画像診断の立場から表面型を定義した場合,外科切除病変における肉眼分類上の慣行としてⅡ型とされている病変,および大腸癌取扱い規約で言うⅡ型(表面型)との関係はどうなるか,②10mm以上の病変をあるサイズで区切って分類することに意味があるか,③Ⅱa+ⅡcとⅡc+Ⅱaをどう扱うか,などが挙げられる.本稿では主として①を中心に検討した.
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