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編集後記
吉田 操
pp.1404
発行日 1997年9月25日
Published Date 1997/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105213
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食道癌の早期診断は,改めて言うまでもなく目覚ましい進歩を遂げた.この原動力となったのは内視鏡によるスクリーニングである.従来,極めて困難とされてきた上皮内癌と粘膜癌の診断も,ヨード染色法の確立により標準的な診断法となり,早期診断の普及を早めた.これまでの臨床病理学的実績は,粘膜癌こそ早期食道癌であることを示唆し,この概念は今や広く世間の認めるところとなった.
一方,粘膜癌のX線診断は報いの少ない努力を続けなくてはならなかった.ヨード染色法のような,画期的手法は登場しなかったからである.次々に臨床の場に登場する上皮内癌,粘膜癌は凹凸の少ない病変である.これをフィルム上にいかに精密に再現するか,先行する内視鏡と病理にいかに速やかに追いつくか,従来の食道造影法の改良だけで実現しなくてはならなかった.この間,食道粘膜癌のスクリーニングと精査は,内視鏡検査以外に有効なものはないと,誰もが信じて疑わなかったのである.
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