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編集後記
吉田 操
pp.242
発行日 1991年2月25日
Published Date 1991/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102473
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肉眼所見に乏しい“ヨード不染性の食道粘膜異常”を,臨床側は一括して“dysplasia”と呼び,解析に励んできた.この中には上皮内癌・粘膜癌が含まれ,良性の変化も多い.食道癌早期診断の最前線である.染色所見と生検組織診断との対比で,良性上皮性病変や明らかな癌は速やかに診断がつくまでになった.しかし,臨床と病理の双方に限界があり,一部の病巣は異型を認めながらも癌とも良性とも言えず,繰り返し検討し,年余にわたることもある.食道の上皮あるいは粘膜病変は,生検により大きな影響を受けやすく,病理組織所見まで変化して,ますます診断が困難になる.内視鏡的粘膜切除法は少ない侵襲で,病巣全体の組織学的検索を可能にしたので,この課題を解決する道が開けた.
“dysplasia”の概念は現状に合わなくなってしまったので,今後は,“ヨード不染性の食道粘膜異常”のうち,明らかな異型性があるが,最終診断に至らないもののみを“食道異型上皮esohageal atypical epithelium”と呼び,はたして良性か悪性か,“真の食道異型上皮”というものが本当に存在するのか,検討する時代になった.
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