特集 炎症性腸疾患1997
主題
Ⅳ.長期予後
(2)Crohn病
青柳 邦彦
1
,
平川 克哉
1
,
飯田 三雄
3
,
古賀 秀樹
3
,
檜沢 一興
3
,
江崎 幹宏
3
,
八尾 隆史
2
,
藤島 正敏
1
1九州大学医学部第2内科
2九州大学医学部第2病理
3川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)
キーワード:
Crohn病
,
長期予後
,
X線所見
,
狭窄
,
潰瘍
Keyword:
Crohn病
,
長期予後
,
X線所見
,
狭窄
,
潰瘍
pp.421-430
発行日 1997年2月26日
Published Date 1997/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105076
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要旨 Crohn病の長期予後について,10年間以上X線学的に経過を追えた22例(平均13.7年,最長22年)を対象として,画像所見(敷石像,縦走潰瘍,瘻孔,狭窄など)の推移を中心に述べた.増悪し手術に至る例のみならず,長期間緩解を維持しX線所見の著明な改善を認める例もみられた.10年間で検討すると,開放性潰瘍は診断時に比し治療経過とともに次第に軽減する傾向がみられた.また,治療中における狭窄病変の推移は小腸と大腸では違いがあり,小腸では改善~不変例が多く,逆に大腸では増悪例が多かった.在宅栄養療法や薬物治療などの内科的治療を主体とし,必要に応じて臓器温存を念頭に置いた外科治療を行うことが,長期予後を改善するうえで有用と考えられた.本症は高率に再燃し累積手術率も高いが,生命予後は必ずしも不良ではない.短期的緩解導入やその維持を主体としながらも,長期的視野を持って検査と治療を行うことが重要である.
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