--------------------
編集後記
岡崎 幸紀
pp.1054
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104205
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
序文に記されているように,この号の特集の意図は,Helicobacter Pylori(H. Pylori)とMALTリンパ腫の相関である.そういう目でみれば,主題論文の中には,いささか迫力に欠けるものがあるように感じられるかもしれない.H. Pyloriの胃粘膜障害機序が明らかでないこと,MALTリンパ腫の診断基準が確立されていないこと,MALTリンパ腫症例に限りがあること,生検組織切除標本にそれぞれ診断上のデメリットがあることなど,両者の病態には解明されていない点が多々ある.論文のはしばしに,この点に関しての著者の苦衷が窺える.感じられたとしたら,ご理解いただきたい.主題症例の1例1例には,それぞれ考えさせられることが多い.著者も,問題点および自己の主張を明確に述べている.
いわば,混沌とした時代に,1つの方向を示すこの特集号を発行できたことに,感慨を覚える.企画の段階で,今,特集できるのか,と何度も挫折しかかったからである.執筆された諸氏に感謝したい.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.