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ルーチンX線検査の現在の問題を次の3点に集約する.
1.ルーチン検査の不確実さ
上部消化管の標準的なルーチンX線検査法はほぼ確立され,まずX線検査,次に内視鏡という過程により,検診を中心として胃癌診断が広く実施されてきた.その現場で,X線検査の盲点が明瞭に浮き彫りにされ指摘されるようになってきた.ルーチンX線写真上で指摘した病変部以外の部に癌が発見されたり,当然写し出されてよい部位の病変が写っていなかったりする場合などである.しかも,それは微小癌などの精密検査でも描出が困難とされる軽微な病変ではなく,比較的明瞭な隆起や陥凹を有する病変においてである.また,X線による定期検診で異常なしとされ,1~2年後に進行癌が発見されたりする場合(スキルス癌ではない)にもよく遭遇する.逆に,異常が疑われて内視鏡検査しても病変を認めないことは数えきれない.まさに検査の不確実さが問われている.この原因は何か.患者1人1人の画像に差があるからか,X線検査の撮影法や読影が悪いのか,検査自体に限界があるのか,いろいろ考えられるが,最も大きな要因は確立された検査方法や撮影手順を行っても撮影者の技量,診断医の読影力により差が存在することである.特に撮影者の工夫と熱意は病変の発見や描出を左右する重要な要素であり,この撮影者個人の力量に左右されることがX線検査の最も大きな弱点と言える.すなわち,バリウムと空気だけあれば,だれがやっても同じ精度のX線写真ができ上がるわけではないのだ.熟練には,内視鏡検査に比べて,多くの症例経験(年数)が必要であり,また,撮影のノウハウを十分取得した読影者でなければ正確な診断もできないことが更にX線検査を難しくしていると考えられる.
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