--------------------
編集後記
松川 正明
pp.240
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103440
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本主題は2000年7月20日に開催された第1回臨床消化器病研究会で取り上げられた.4型大腸癌は大腸癌の中で数%以下と頻度も低く,多くの施設でも経験例が少ない.本誌でも14年前に“びまん浸潤型大腸癌と転移性大腸癌”として特集号が組まれている.今回は4型大腸癌を中心に鑑別を要する疾患について特集している.二村らは4型大腸癌を肉眼所見・病理所見から見て3つのtypeに分けて記述されている.しかし,高度な管腔の狭小化のため,臨床の場では2つ程度に分けたものが使いやすい.4型大腸癌と鑑別を要する疾患として,転移性大腸癌と炎症性の疾患(腸間膜脂肪織炎,炎症性腸疾患,放射線性腸炎)が挙げられている.転移性大腸癌を除き,一般臨床の場でこれらの疾患と遭遇することの少ない疾患であり,これら疾患のX線・内視鏡検査を一同に見ることができるのは読者にとって非常に有益であり,また本誌の特徴と言える.これら鑑別を要する疾患では超音波・CT検査の所見についても言及している.
現在,大腸検査では内視鏡検査が主流となっている.4型癌と鑑別を要する疾患では高度な管腔狭小化のために病変部を内視鏡で十分に観察できないことがあり,内視鏡診断で苦渋することがある.これらの疾患を鑑別するときに大腸病変を概観的に捕えられるX線検査を積極的に活用することにより,鑑別が容易になることがある.今後4型大腸癌の早期癌に相当する病変が発見されることを期待したい.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.