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編集後記
工藤 進英
pp.864
発行日 2001年5月25日
Published Date 2001/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103241
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本邦から世界に広まりつつある拡大内視鏡pit pattern診断は,本邦のみならず,欧米でも急激に広まりつつある.同時に,EUSの有要性も認められ論議されている.早期大腸癌,特に表面型腫瘍の診断学がこれらにより進歩し,病変の質的診断向上が,臨床において明らかにむだなポリペクトミーやEMRを減少させている.一方では,拡大内視鏡pit pattern診断やEUSは,同時に通常内視鏡診断の診断能も明らかに向上させている.本号で,拡大内視鏡とEUSの是否を問う企画がなされているが,通常内視鏡からの一連の診断学大系が急速に進歩しているという,今までにない時代の変化を感じるのは筆者だけであろうか.拡大pit pattern診断は,色素内視鏡とほぼ同じ手間しかかからず,内視鏡診断のルーチンの作業であることは,山野論文に示されている.それぞれのエキスパートがそれぞれの主張をすることは認めるが,X線と内視鏡の診断学の比較が,次第に終息したように,通常内視鏡,EUS,拡大内視鏡の比較も早晩に終息して行くであろう.その方向性を決め,変化をなすのは臨床にいる実地の内視鏡医である.そして新しい変化,ビルドに伴うのは,何かを捨てるというスクラップ作業である.われわれは,疑診ではなく,できるだけ確診に近い質の高い診断をし,患者のために過不足のない適切な治療を行うことが必要である.イボ取り屋と呼称された診断学の欠如した時代は終わった.早期大腸癌の診断と治療が今後どうなるのか,世の中の変化を楽しみに見て行きたい.
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