--------------------
編集後記
小平 進
pp.836
発行日 1991年7月25日
Published Date 1991/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102599
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
8年前の本誌第18巻第8号で大腸sm癌が特集として取り上げられ,興味ある27例の症例呈示と400病変の集計から,sm癌のリンパ節転移,肝転移のrisk factorに関する解析が行われた.当時の識者らにより,診断面では各施設による病変の形態認識の相違や,無茎性隆起性病変の形状診断の不十分さなどが指摘され,また,治療方針の決定および予後判定に役立つ病理学的因子の解明の不十分さが問題とされた.
その後,国民の大腸癌に対する関心の高まり,診断技術の進歩などにより,sm癌の発見率も急速に高くなり,前述の問題点に関しても多くの知見が得られてきている.そこで,再び本誌でも本号および次号にわたって,「大腸sm癌の診断と治療」を特集として扱うこととなった.本号では診断面を主に取り上げたが,X線,内視鏡所見を中心にsm癌の診断的特徴が詳細に明らかにされた感がある.また,病理学的浸潤度の解析からも裏付けがなされて,非常に興味ある内容となっている.そして,これらの所見は大腸癌の発育・進展過程を知るうえでも大きな示唆を与えるものと思われる.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.