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編集後記
小平 進
pp.208
発行日 1994年2月26日
Published Date 1994/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105739
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早期大腸癌はm癌とsm癌を言う.しかし,このm癌の診断基準が病理学者により異なっており,同一の病変が,ある施設ではm癌になり他の施設では腺腫となることがある.したがって画像診断や肉眼所見などにおけるm癌の頻度をみるときには,頭の片隅にこのことを入れておく必要がある.治療成績の評価においてもこのようなm癌を癌としてsm以深の癌と一緒に検討するのは好ましくなく,大腸癌取扱い規約でも病期分類でm癌はstage 0としてstage 1から独立させておくことになった.
このような現状にあるm癌が含まれる早期大腸癌ではあるが,近年わが国では全大腸癌に占める頻度は急増している.これは便潜血反応を大腸癌スクリーニングに導入することの普及化とX線・内視鏡診断における著しい進歩によるところである.本特集では現時点におけるこの早期大腸癌の診断と治療に関する真髄が集大成されており,特に最近注目されている表面型早期癌の診断への各識者の情熱がひしひしと伝わってくる。本号に掲載されている画像を見ると,ほとんどすべてのタイプの早期癌が見事に描出されており,読者自身の診断意欲をかきたてるであろう.
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