早期胃癌研究会
1991年1月の例会から
斉藤 利彦
1
,
小越 和栄
2
1東京医科大学内科
2新潟がんセンター内科
pp.264
発行日 1991年3月25日
Published Date 1991/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102478
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1991年最初の例会は1月16日,司会は斉藤(東京医大)と小越(新潟がんセンター)で,例年どおり3題の出題であった.
〔第1例〕65歳,男性.早期食道癌,small cell carcinoma(症例提供:岐阜大学放射線科井上).
X線読影は八巻(虎の門病院放射線診断学科)が担当.食道のⅠmに中心陥凹のある境界明瞭な隆起病変がみられ,病変の大きさは1.5椎体ぐらいで,周辺の粘膜面は正常.質的診断は上皮内進展や浸潤のみられない癌で,深達度は食道口径に変化がないことからsmまでとした.吉田(都立駒込病院外科)から病変がドーナツ型で潰瘍底がきれいで平滑であることから通常の癌とは異なり,分化度の低い扁平上皮癌か,またはsmall cell carcinomaが強く考えられるとの意見があった.内視鏡は長野(仙台市医療センター)が読影し,周堤を伴った潰瘍で,周堤は正常粘膜で覆われており,ルゴール不染の潰瘍底に癌がみられる(Fig. 1).潰瘍底がきれいであることなどから,非上と皮性の悪性腫瘍で,鑑別としては低分化型食道癌とした.
病理所見は下川(岐阜大)から説明があり,粘膜下までのsmall cell carcinomaで3.8×2.4cmであり,肉眼所見はその像をよく反映しているものであった.(小越)
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