早期胃癌研究会
1991年9月の例会から
望月 福治
1
,
武藤 徹一郎
2
1仙台市医療センター内科
2東京大学第1外科
pp.1330-1331
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102706
- 有料閲覧
- 文献概要
〔第1例〕55歳,女性.表在食道癌0-Ⅱc(症例提供:都立駒込病院内科 加藤).
読影は八巻(虎の門病院放科)が担当.X線では胸部中部食道に結節状隆起と粘膜集中像がみられ,中心にバリウムの溜まりがある(Fig. 1).内視鏡でも同様であるが,境界は明瞭であり,内視鏡のほうが全周性であることがわかる.病変は単発で変形が強いので,深達度smの陥凹型の癌とした.これに対して鈴木(岐阜大放科)は,変形の状態と粘膜集中像の存在はsmにがっちりと浸潤している典型像とは異なり,pmも考えたいが,sm量は少なくfibrosisがかなり強いのではないかとした.病理は加藤(駒込病院)により解説された.大きさ4.5cmで,表面の平滑な部分と,その肛門側を取り囲むように顆粒状の隆起が存在し,この部分でsmにmassiveに浸潤する中分化型の扁平上皮癌で,強いfibrosisを伴い,周囲には所々にepの拡がりとmmの部分があるとした.渡辺(新潟大病理)から生検によるfibrosisか否か,白壁からこの病変の分類についての質問があり,これに対して吉田(駒込病院)から,生検の同定は困難であるが,通常,生検により引きつれをもたらすほどのflbrosisは非常にまれである,分類は困難で大雑把に陥凹と隆起の混合型と言えるが,従来の分類では無理であろう,との意見が出された.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.