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編集後記
松井 敏幸
pp.742
発行日 2008年4月24日
Published Date 2008/4/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101360
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最近,小腸疾患の増加傾向が著しいが,その理由として以下の3つが挙げられる.第1に小腸内視鏡の著しい進歩により小腸疾患への関心が高まっていること,第2に炎症性腸疾患のうち小腸に病変を来すCrohn病が増加していること,第3に高齢社会を反映しNSAID(nonsteroidal antiinflammatory drug)や抗凝固剤を服用する機会が増えたため,小腸の出血性疾患が増加していること,などである.それぞれが相乗的に作用して小腸への関心が高まっている.さらに小腸内視鏡検査のうち,カプセル内視鏡が保険適応になったことも追い風になっている.最近,著しく小腸内視鏡検査数が増加し,治療を要する疾患も発見されつつある.わが国で開発されたダブルバルーン小腸内視鏡も盛んに臨床応用がなされている.本号では,以上の状況に即した小腸画像が綺羅星のごとく掲載され,読者を魅了するものと思われる.どの論文もその画像の特徴を生かして,説得力のあるものが多い.これまで培ってきた小腸疾患診断への情熱が今後もさらに高まり,有効な診断理論へと発展することを希望する.治療に関しても取り組みが進んでいる.すなわち,診断能力の向上に伴い,内視鏡治療が可能となり,小腸疾患に苦しむ患者さんに福音をもたらすことを期待している.また,複雑な小腸疾患の本質が内視鏡画像や生検組織診断とともに理解・解明されることにも繋がってほしい.本特集号では,これらの最新の診断と治療に関する知見を総合的に掲載し知識を整理しえたものと確信している.
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