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書評「IPMN/MCN国際診療ガイドライン 日本語版・解説」
松野 正紀
1
1東北厚生年金病院
pp.46
発行日 2007年1月25日
Published Date 2007/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101032
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癌研究会附属病院の大橋計彦らが,十二指腸乳頭の特異な所見を伴った粘液産生膵腫瘍を,世界に先駆けて報告してからはや四半世紀が経過した.この間,数多くの報告がわが国および諸外国からなされ,この疾患が膵臓病の中で重要な位置を占めるようになった.なぜ重要なのかと言うと,発生頻度はそれほど高くはないが,経過とともに癌化する傾向が強いからである.
わが国の高齢者の剖検膵では,半数以上に微小なものも含めて嚢胞性病変が認められる.このような状況の中で,嚢胞性疾患の鑑別診断が治療上重要になってきた.世界保健機関(WHO)が,粘液を産生する嚢胞性膵腫瘍を膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と粘液性嚢胞腫瘍(MCN)の2群に分類したのが10年前であった.それ以後,本疾患に対する理解が急速に深まった.
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