Japanese
English
今月の主題 消化管への転移性腫瘍
序説
消化管への転移性腫瘍
Introduction
田中 信治
1
Shinji Tanaka
1
1広島大学光学医療診療部
キーワード:
消化管
,
転移性腫瘍
,
牛眼像
Keyword:
消化管
,
転移性腫瘍
,
牛眼像
pp.1753-1754
発行日 2003年12月25日
Published Date 2003/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100704
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近年,悪性腫瘍の罹患率は増加しており,原発腫瘍あるいは転移性腫瘍に対する正確な診断学の必要性がますます高まっている.悪性腫瘍罹患患者に対しては,常に転移病巣の有無を検索する必要があるが,その際,臨床医は転移性腫瘍の形態学的特徴を十分理解しておかねばならない.一方で,原発巣が不明なもの,転移病巣が先に診断されるもの,原発巣が転移病巣に類似した変化を認め診断に苦慮する場合もある.本号では,消化管への転移性腫瘍の形態学的特徴を整理し,臨床診断に役立てようという目的で,“消化管への転移性腫瘍”を主題に取り上げた.消化管への転移性腫瘍は剖検例ではまれではないが,生前にきちんとした画像で形態学的に診断されることは比較的少なく,臨床的には散発的に文献報告されているのが現状である.実際,消化管への転移性腫瘍の形態診断学的特徴に関するまとまった成書は少なく,本特集号の持つ役割とその期待は大きい.
悪性腫瘍の消化管への転移経路としては,血行性あるいはリンパ行性転移と直接あるいは播種性浸潤が挙げられるが,いずれにしても,粘膜よりも下層に病変の主座があるため粘膜下腫瘍の性格を持つ.古典的には,牛眼像(bull's eye appearance)1)が有名で,脈管行性に消化管壁に転移した腫瘍が粘膜下腫瘍様に隆起を形成し,その中央に陥凹を伴ったものである.進行し大きくなれば,決潰して潰瘍形成を伴い,原発性の上皮性腫瘍との鑑別に苦慮することもある.
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