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胃悪性リンパ腫の最近の動向
MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma)は,リンパ節外の粘膜関連リンパ装置を母地として発生する低悪性度のB細胞悪性リンパ腫として1983年,Isaacsonら1)によって報告された.
病理組織学的には,胚中心細胞に類似したcentrocyte-like cellのびまん性浸潤,粘膜上皮の腫瘍細胞による破壊像(lymphoepithelial lesion),モノクローナルな形質細胞の浸潤,リンパ濾胞の残存などが特徴的である.
当初,MALTリンパ腫はlow-grade MALTリンパ腫とhigh-grade MALTリンパ腫に分けられていたが,新WHO分類ではextranodal marginal zone B cell lymphoma of MALT type(low-grade B cell lymphoma of MALT type)に分類され,MALTリンパ腫はlow-gradeのみを指し,high-gradeがびまん性に増殖し濾胞構造を持たないものはMALTリンパ腫とは言わずDLBL(diffuse large B cell lymphoma)with areas of marginal zone/MALT type lymphomaと呼ぶようになっている.
その表面マーカーはCD5,10,23陰性で,CD19,20,21陽性,Bcl2陽性であることがわかっている.また,わが国より報告された2)3)t(11;18)転座によるAPI2/MALT1キメラ遺伝子は重要であり,MALTリンパ腫の約50%,胃MALTリンパ腫の10~20%にこの転座がみられる.本転座を有する症例は多臓器多発例が多く,Helicobacter pylori(H. pylori)除菌に抵抗性であるが,いわゆる high-grade MALTリンパ腫やDLBLにはほとんど存在しない.ゆえに除菌抵抗性の指標であると同時に悪性化しないマーカーの可能性が指摘されている.
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