増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
一般検査
尿検査
尿沈渣
石川 勲
1
1金沢医科大学腎臓内科
pp.750-752
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402910008
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尿沈渣の目的・意義
尿沈渣は腎・尿路系の疾患を診断するうえで最も重要な多くの情報を提供する1).すなわち,尿沈渣所見を十分得ることによって,腎における組織学的変化が推定できるのである.例えば,一般検尿で潜血反応が陽性の場合には,尿沈渣で赤血球の有無とその形態を観察することによって,その原因が血尿によるものか他の色素尿によるものか,あるいは糸球体由来の血尿か,泌尿器科的疾患による血尿か鑑別できるのである.なぜなら,円柱はTamm-Horsfallムコプロテインを基質とし,これに種々の細胞成分や蛋白成分その他を取り込み,尿細管内で形成されたものであり,円柱には円柱が形成された遠位尿細管や集合管など尿細管の太さ,尿細管腔内に存在する成分,停滞していた時間など多くの情報が反映されているからである.そこで,このように円柱の観察を通して腎の組織学的変化を推定するのである.
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