増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
一般検査
尿検査
尿中ウロビリノーゲン
神谷 康司
1
,
中林 公正
1
1杏林大学医学部第1内科
pp.736-738
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402910003
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検査の目的・意義
ウロビリノーゲンは,胆汁中の抱合ビリルビンが,下部小腸または大腸にて腸内細菌により還元されて生成される.このウロビリノーゲンの一部は,腸から再吸収されて門脈より肝臓に至り,その大部分は肝細胞により酸化されて再びビリルビンとなる.また,一部分はウロビリノーゲンのまま胆汁中に再排泄される(腸肝循環).さらに門脈より吸収された一部のウロビリノーゲンは,肝臓を通過して大循環に入り,腎臓より尿中へ排泄される.
尿中ウロビリノーゲンは,肝細胞障害,体内ビリルビンの生成亢進,腸内容物の停滞などで増加する.肝細胞障害で尿中ウロビリノーゲン排泄が増加する機序は,肝臓における酸化能の低下による.慢性肝障害,特に肝硬変の場合は,肝内・肝外短絡により,門脈より大循環へ直接ウロビリノーゲンが移行することも一因となる.肝細胞障害の機序が加わると酸化能の低下も加わり,増加は著明となる.また,総胆管閉塞,肝不全末期などでビリルビンが腸内に排泄されない場合には,減量もしくは欠如する.高度の腎機能障害が存在すると,尿中への排泄障害のために低値を示す.
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