“One More Step”
腹部超音波検査を契機に肝内に多数のサルコイド結節を認めたサルコイドーシスの1例
小橋 吉博
1
1川崎医科大学附属川崎病院内科
pp.68
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907696
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症例は46歳,男性.検診における肝機能障害の精査目的で,腹部超音波検査をしたところ,脾腫,肝内に多数の小結節,複数の腹腔内リンパ節腫大の所見が得られた.このため,肝生検を目的として腹腔鏡検査を施行した結果,乾酪壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫の組織所見が得られた.そこでサルコイドーシスを疑い,全身精査をしたところ,表在性リンパ節は触知せず,皮膚病変もなし,胸部X線上で両側肺門部リンパ節腫大を認めたのみで肺内病変も伴わなかった.そのほか,眼病変,心病変,中枢神経病変も伴っていなかった.検査所見は,ツベルクリン反応陰性であったものの,血清ACE,リゾチームも正常範囲内にとどまっていた.サルコイドーシスは,全身性疾患であるが,通常,肺,眼,皮膚病変から先に診断されることが大半であり,文献上も本症例のごとく肝機能障害から診断されることは珍しいと思われる.以前の胸部X線を取り寄せてみると,両側肺門部リンパ節腫脹は認められており,発症時点はもう少し前であったと考えられる.腹部超音波検査の時点では,発熱や腫瘍関連因子の上昇もなかったが,悪性リンパ腫も鑑別として挙げていた.
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