“One More Step”
胸水貯留を認めた患者の胸腔穿刺におけるエコー検査の有用性/カラードプラ法を用いた裏技
小橋 吉博
1
,
玉野 宏一
2
1川崎医科大学附属川崎病院内科
2獨協医科大学循環器内科
pp.53
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907690
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呼吸器内科を専門としている以上,胸水貯留による呼吸困難感を主訴として入院してくる患者も多い.原因としては,癌性胸膜炎によるものが増加しており,高齢者では細菌性肺炎に伴って膿胸による比率が増加してくる.この際,胸水採取のために胸腔穿刺が必要になるが,胸水の貯留量が500ml以上になってくると打診でも肝臓と胸水,そして肺との境界もわかってくるが,特に熟練していない研修医などでは,肺自体を穿刺して気胸も起こしかねない.そこで,誰もが簡便に行うことができるエコー検査が有用となる.現時点でも,偉い先生方には胸水を抜くだけのことなのになぜエコーの機械を使う必要があるか,としばしばお叱りを受けることがあるが,実際使用してみると実に有用である.100ml以下のごく少量の胸水でも呼吸の運動に合わせて可動しているのがわかるし,内部に癌の転移などによる腫瘤性病変も捉えることができる.また,同様に胸壁に接した実質性腫瘤の経皮的生検の際にも境界が明確にわかるため施行しているが,これも合併症もなく安全に行えている.
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