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HIV感染症診療の実際(前編)—初診から病態の把握まで
岡 慎一
1
1国立国際医療センターエイズ治療研究開発センター
pp.1721-1724
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907675
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HIV感染症の治療は,図1に示すごとく,抗HIV薬を用いたエイズ発症予防と日和見感染症の診断・治療・予防の2つの大きな柱に分かれる.そのどちらも非常に専門性が高く,HIV感染者の予後は,専門医にかかるかどうかで違ってくることが示されている.抗体検査を受け陽性と判明した人はしかるべき施設に紹介されることが多いので問題はないが,種々の日和見感染症によりエイズを発症してから病院を訪れる場合には,一般医を受診することがほとんどである.このような場合には,HIVの診療経験がないかもしくは非常に少ない医者が対応に当たることになる.しかし,HIVに併発する日和見感染症は,いわゆる従来の医療経験のなかでは診ることの少ないものがほとんどであり,その診断や治療は必ずしも容易ではない,例えばエイズ発症時の疾患として最も頻度の高いカリニ肺炎の場合,呼吸器専門医ですら間質性肺炎としてステロイドを投与してしまうこともある.これは,自分の経験に基づいた鑑別診断の中にカリニ肺炎が入っていないために起こってしまう誤診である.
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