今月の主題 循環器薬の使い方 2000
病態に応じた循環器薬の使い方
β遮断薬
狭心症における使い方
井上 晃男
1
1獨協医科大学越谷病院循環器内科
pp.1281-1283
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907573
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狭心症におけるβ遮断薬の適応
狭心症の薬物療法の目的は,発作の寛解,発作の予防,さらには不安定狭心症や急性心筋梗塞といったacute coronary syndromeへの移行を防ぐことにある.β遮断薬はこのうち主として発作の予防に用いられる薬剤である.β遮断薬により心拍数を低下させ,心筋の酸素消費を減らし,さらに労作によって生ずる血圧の上昇や心収縮力の増強を抑制することができる.
このようにβ遮断薬は交感神経の活動が活発になるときに,まず最初に心筋の酸素需要を減らすことができるため,労作性狭心症では有効な薬物と考えられる.しかし,β遮断薬は冠動脈を収縮させるため,冠攣縮性狭心症には無効であるのみならず,むしろ発作を増悪させることがあり使用できない.また不安定狭心症ではβ遮断薬単独での有効性は認められていない.一方,近年重要性が注目されている無症候性心筋虚血(silent myocardial ischemia:SMI)の治療においてβ遮断薬の有効性が指摘されている1).SMIを含めた虚血発作の概日リズムを考慮した場合,β遮断薬は他剤に比べすべての時間帯でよりすぐれた発作予防効果を示すと考えられている2).
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