増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
神経・筋疾患治療薬
抗てんかん薬
デパケン(協和醗酵)
伊藤 直樹
1
1中村記念病院神経内科
pp.166-167
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905506
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臨床薬理
●作用機序:まだ十分解明されていないが,バルプロ酸ナトリウム(VPA)は脳内の抑制系であるGABAニューロンの活動性を高め(脳内GABAの量も増加させる),また,フェニトインおよびカルバマゼピンと同様,Naイオンチャンネルの不活性化を延長させる(Naイオンに対する膜透過性の抑制)といわれている.
●吸収・分布・代謝・排泄:腸管からの吸収は迅速で,約1時間でピークに達し,生体内半減期は7〜10時間なので,1日2〜3回の投与が必要である.血清蛋白との結合率は93%と高く,血中濃度が75μg/mlで蛋白への結合は飽和する.通常の測定での血中濃度は蛋白と結合したものにfreeのものを加えた値であり,したがって75μg/ml以上では,freeのVPAの濃度が著明に増加するので注意が必要である(中枢性の効果および副作用はfreeのものによる).効果の判定および増量は定常状態に達してから行うが,その期間は2〜4日なので,3日ごとに増量できる.徐放剤は定常状態に達するまでの期間が7〜10日と長く,ゆっくり増量しなければならないが,1日2回の服薬でよく,血中濃度の変動が少ない.
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