今月の主題 レディースクリニック
女性の成熟と加齢
高齢女性の諸問題
村上 元庸
1
1京都大学医学部成人老年病病態学
pp.1643-1645
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905251
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ポイント
●高齢者人口に占める女性の割合は高く,高齢女性の診療の機会が増え,内科領域において高齢女性における特徴の理解は重要になっている.
●一般に,動脈硬化抑制的な特徴は閉経前の女性に顕著にみられ,閉経前の女性は男性に比して心疾患の発生率が半分以下と少ない.閉経後60歳以降になると,男女差がなくなる.
●一般にHDL(high-density lipoprotein)の値は,女性はあらゆる年代において男性に比べて高値を示し,高齢になっても減少しない.一方,LDL(low-density lipoprotein)の値は30,40歳代では男性に比べて低値であるが,年齢とともにしだいに増加し,50歳代以降では男性よりも高くなる.
●男性は骨密度の低下がゆるやかなカーブを描くのに比して,女性では閉経後急激な骨密度の低下が生じやすい.骨粗鬆症は,閉経後の女性において顕著である.
●閉経後の一部の女性に起こる急激な骨変化は,主にtrabecular bone(vertebrae, pelvis,flat bone, ends of long bones)に起こる.
●尿路の萎縮,骨盤底諸筋の弛緩,老人性尿道炎,膀胱炎による刺激,脳血管障害などによる中枢からの脱抑制などの要因が絡み,尿失禁をきたしやすくなる.
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