今月の主題 心不全を見直す
心不全の原因とその対応
高齢者における管理と治療
今井 保
1
,
坂井 誠
1
,
大川 眞一郎
1
1東京都老人医療センター循環器科
pp.914-917
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905098
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ポイント
●高齢者では心臓をはじめとする全身諸臓器の機能が低下しているため心不全を生じやすく,多臓器不全に陥りやすい.そのため若年者とは異なる特有な病態を呈する.
●主な基礎疾患として虚血性心疾患,弁膜症,高血圧性心疾患があげられる.また,先天性心疾患もさほど稀ではなく,さらに心臓以外の因子も重要である.
●誘因では感染症,心筋虚血発作,不整脈が多いが,医原性(過剰輸液,輸血,薬剤性)や治療不従順も少なくない.
●心不全の管理と治療では,まず心不全の重症度を正確に評価し,基礎疾患,誘因,合併症も考慮した治療法の選択が必要である.
●薬物療法に際しては,少量より投与を開始し,副作用の出現に注意しながら漸増して至適量を決めなくてはならない.
●薬物療法が無効の重症心不全例に対して,侵襲的治療法を行うか否かは,その治療法の可能性と限界を正しく把握し,さらに患者の社会的活動性,他臓器機能などを総合的に考慮して判断する必要がある.
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